科学は万能ではない。科学には人間がどう行動すべきかを決めることもできない。
近代以降の歴史は科学と特定の宗教(人間至上主義)が手を組み「人間の経験が宇宙に意味を与える」と信じながら力を手に入れているプロセスである。神性の獲得もその延長線上にある。
AIが進歩し、ほとんどの分野で人間に取って代わり人間について本人よりもよく知るようになれば、大多数の人は存在価値を失い、巨大な無用者階級を成し、人間の人生と経験は神聖であるという人間至上主義の信念が崩れる。
しかし生き物はただのアルゴリズムではない。生命はデータ処理しただけではない。意識は知能よりも重要である。
その事を理解し覚知するためには人を恋し、歴史を学ぶ必要が大である。
恋するとは相手に自分をそっくり差出したいと願う総合的衝動である。
歴史の研究は、私たちが通常なら考えない可能性に気付かせてくれ、単に過去を繰り返すのではなく過去から解放させてくれる。未来を予想するのではなく過去から自らを解放し、他のさまざまな運命を想像させてくれる。
しかし私達の思考や行動はたいてい今日のイデオロギーや社会制度の作出した虚構の制約を受けている。
さあ!そこで以上の事を覚知して虚構と現実、宗教と科学を区別するため、真なる勉学を死ぬまで続けてみよう!
そして、この世界に意味を与えてくれる虚構をすべてのモノのインターネットより先に読み解いてみよう!
令和5年8月7日 廣 田 稔