大人が大人化していないのは青年期を経ていないからであるとも言われている。青年となるには「時間は不可逆的であることを自覚する必要がある。つまり、今のこの瞬間は過ぎ去って二度と戻らない。絶対に取戻しがつかないということを知る必要がある。それを知ると全てが移ろいやすく儚くそして何よりかけがえのないものに映るのである。
それを「覚知することで青年期をむかえることとなる。そうしたら自分で自分の進路を考えることが出来ていないこともわかる。そして自分の能力のなさまで見えてくる。そこで悩んだら、先生なり親なり先輩なり先人に「人間は何のために生きているのか」お教えくれと叫べる筈である。
そうして始めていかに自分が知的でなく自分の人生を全く理解しておらず、自己の欲望との折り合いの仕方も全く知らないことがわかってくる。それは死ぬまで続くのであるがその時にこそ自己の能力のなさについて生きながら悩むことに生きる楽しみが存在していることが少しずつ見えてくる。
自分の人生は悩みからの折り合いの歴史であると、そしてその事が自己の言葉として溢れる時期が来る。それこそが大人化することである。
令和5年1月末日
廣 田 稔