五大友厚らが長崎で学び留学して学び得たもの,それは何より大切なものは「信用何より将来への信頼である」という事である。五大はそれを発見し、体得し、それらを行動その後の生きる指針としたのである。
其のことを体得するには、まずは1776年のアダム・スミスの国富論を読むことも大切である。アダム・スミスは「自分の利益を増やしたいと願う人間の利己的な動機が全体の豊かさの基本となる。」と言った。利己主義はすなわち利他主義となると、そこで五大は朱子学、武士道が標榜する「富と道徳は矛盾する」考え方を捨てた。
そして、西郷隆盛が尊敬したナポレオンが商店主達の国を呼んで物笑いの種にしたイギリスの本当の歴史を学んだ。イギリスの歴史を学ぶことは、資本主義の生い立ちを学ぶことに通じる。
資本主義は信用と中核に展開する。オスマン帝国・清・日本の武士は国を維持する経費は税金と略奪で賄う、しかし商人・銀行家は税金よりも信用を介し資本調達をするのである。そのことを真に理解するにはその実例をみる必要がある。
コロンブスの申し入れをポルトガル国王は拒否したがスペインのイザベル王は信じ、アメリカ他全世界の王者となった。将来性に大きな信頼を寄せた。そしてリスクを抑える意味もあって有限責任の株式会社が作られた。
そのスペインに勝ったのが小国のオランダである。オランダ人の成功の秘訣は、未来への信用であった。1602年オランダ東インド会社を設立(その間のことを,五大は長崎でオランダの先生から学んでいた)その後オランダ西インド会社がアメリカ・ニューアムステルダムを作ったが1664年イギリスに奪取されニューヨークとなっている。(ウォール街)
その後フランスとイギリスが証券取引所の活用して世界の覇者となる。ところがフランスは政財界(ルイ15世)の忖度を昂じて癒着を生じミシシッピーバブルで、信頼を失くし破産し、ルイ16世の時に1789年フランス革命となった。(フランス革命の真相である)そうしてロンドン証券所、イギリス東インド会社➡大英帝国となっていった。
五大はその歴史を英国でも体感してきた。単にマンチェスターに行って機械と武器を買いに行っただけではない。我々はその学ぶ姿勢だけではなく、その内容を確知すべき時にきている。それなくして今、日本に蔓延している若者の無関心と自信喪失感を導く方途さえ見出しえない、今や時間が無い。
令和2年3月6日
廣田 稔